さくるの女子力アップ講座 上級編④ 旋律を身にまとう
上級編も仕上げのパートに入りました。
やや道楽の域に達しているかも。
長くなるから一項目ずついきましょうか。
8. 香水つける
香水は音楽のようなものだと思います。
美しく心地よい旋律を身にまとう。
あなたが動くと、旋律が奏でられて、誰かに届く。
香りは記憶に残ります。
なにを着ていたかより、どんな香りがしたか。
そんなふうに覚えていてもらえる女性になるために。
自分が好きな香りを選ぶのがもちろん基本ですが、たくさんの香りを試してみるのがいいでしょう。
香りは趣味性が高いものだけに、嫌いな香りや、苦手な香りも多数存在します。
好きだな、と思った香りと別の香りを、一対一で比べてトーナメントしていくとわかりやすい。
わたしが女子力の向上に取り組んで、最初に香水を選んだときには、ゲランのコンサルテーションを受けました。
コンサルタントは、瓶の形も名前も伏せて、ムエットという細い紙に香りを吹きつけてはわたしに差し出します。
二つ嗅いで、こっち、というと、新しい香りをまた一本吹きつけてくれる。
これを繰り返していって、残ったのはJICKEYという、ハーブ系の爽やかな香りでした。
しかし、このあと、コンサルタントは力量を見せつけてくれました。
「JICKEYをお好きならば、これからはこんな女性を目指されるのもよろしいのではないでしょうか」
そして、いわゆる隠し球のように、L'HEURE BLEUEを出してきたのです。
「蒼い時」という名前の通りに、夕闇がそこまで迫っている花園に佇んでいるかのような、華やかでありながら楚々としていて、どこか懐かしい香り。
もう、いちころでしたね。
いままでのわたしはJICKEY、でもこれからはL'HEURE BLEUE。
で、頭のなかがぱああっとなりました。
コンサルタントは、二本ともお持ちになって、つけかえるのもいいですよ、といいましたが、わたしはいまもそうですが、香水は使いきるまでそれ一本を貫くタイプ。
それに、ふだんも毎日つけることで、特別な日にもさりげなくいられると思うから。
L'HEURE BLEUEは、間に別のオードパルファンを二つはさんで二本使いました。
そして去年の暮れ、ついに新しい香りに出会います。
宝塚観劇の後で立ち寄った帝国ホテルのゲランのお店。
ここについては別項を設けたいほど、興味深いお店だったのですが、それはまた別のお話。
ここにしかない香りを試してみようといくつか出してもらったうちの LE BOUQUET DE LA MARIÉEがそれでした 。
「結婚式の花束」という名前の、幸せ、としかいいようのない香りです。
オレンジフラワーなどの白い花々と、トラジエ(結婚式で配るアーモンドに白くお砂糖をかけたお菓子)の甘い香りが、ふんわりと包み込むように立ってきます。
左腕の内側につけてもらって食事にいき、家に帰ってお風呂に入るまでくんくん嗅いでは「しあわせえええ」とつぶやく。
翌日また有楽町まで出かけて購入しました。
付属のアドマイザーにその場で入れてもらい、帝国ホテルの化粧室に飛び込んで即つけたという、惚れ込みぶり。
それから一日も欠かさずつけています。
わたしがゲランが好きなのは、その作品性によります。
一つ一つの香りが音楽であり絵画であるように、芸術的につくられているのです。
なになにの香り、なになに系、という括りではなくて、香りの人格のようなものを感じて惹かれます。
これはあの人に似合うかも知れないなあ、と誰かを思い浮かべることもしばしば。
ちなみに、香水は匂いがきつい、というのは誤解です。
ほんの少しを直接肌につけると、オーデコロンやオードトワレ、オードパルファンよりも穏やかに立ち、長く香ります。