大学生のころから敬愛している立川談志師匠。 七回忌を前に『広辞苑』の新版に【立川談志】の項目が入ったことをニュースショウで知った。 師匠、よかったね、と部屋に飾ってある高座の写真に話しかけたら、よせやい、と照れてる様子。 そのあと、本屋で広辞…
中学高校と6年間通った女子校の保健室は、体育館の建物の1階にあった。 養護の先生はBB先生。 当時はたぶん40代で、双子の男の子と女の子を育てていらした。 小柄で、洒脱な雰囲気を漂わせたBB先生の保健体育の授業は, 毎回爆笑の渦だった。 わたしが覚えて…
夏休み明け、学校にいきたくないこどもたちのために、 動物園や図書館が「どうぞ逃げていらっしゃい」といってくれているらしい。 思い詰めて死を選ぶ子が最も多くなるという9月1日。 緊急避難先はいくつあってもいいだろう。 ただ、心配になったのは、とく…
8月のある夕方、まだ明るい時間に帰宅したときのこと。 マンションの前のガレージで、小学生の女の子が、 おとうさんおかあさんと手花火で遊んでいた。 横にバケツを置いて。 弾ける音と、煙と、匂い。 花火とあたりとのコントラストはまだ淡くて、それが微…
自分の想像力について、初めて自覚したのは11歳。 なにげなく見ていた教育テレビの通信高校講座の現代国語で 志賀直哉の「網走まで」の朗読を聴いたときだった。 冒頭の上野駅の改札の描写。 大きな荷物を口を曲げてひっぱる人がいる、という一節で、見たこ…
21歳のとき、わたしは立川談志師匠にファンレターを書いた。 すぐにお返事をくださり、末広亭の楽屋でお目にかかることに。 それからずっとかわいがってくださった。 母は、わたしが赤ん坊のとき、 大井町のグランドキャバレーで社交ダンサーとして働いてい…
息子が歩くようになって、最初のうちはわたしも近所の公園に連れていった。 まずはお砂場。 他の子と当然、おもちゃの取り合いになる。 その子たちのおかあさんはいう。 「おともだちに貸してあげなさい」 「おともだちと仲よくね」 おともだち、とわたしは…
一日に少なくとも一度は、外でお茶を飲む。 理由は、知らない人の顔を見たいから。 知らない人の顔を見ないで一日を終えると、寂しいからだ。 いま住んでいる国立から中央線で、 たとえば四ッ谷までいって丸ノ内線に乗り換える。 さらに赤坂見附で銀座線に乗…
わたしが思う「美意識」とは「かっこわるいことをしないこと」。 かっこいいことをするのはさほど難しくないし、意識もとりたてて必要としない。 かっこいいことは万人受けするものだし、 受けなければかっこいいと思ってもらえない。 だから、かっこいいこ…
サクマドロップス、あるいはサクマ式ドロップス。 会社が異なるらしい。 わたしの記憶のなかでは深緑色の缶に入っている。 それはサクマドロップスのほうらしい。 いちばん好きなのから順に、オレンジ、レモン、グレープ、 いちご、メロン、はっか。 てのひ…
Facebookでアカウントを持って6年あまり。 おおむね楽しんできたが、未然に防げたらよかったなと思うこともいくつかあった。 じつをいえば、羽生さくるのアカウントは昨年の始めに一度取り直している。 本名と二本立てにして、仕事とプライベートを分けたの…
わたしは一人っ子だから、きょうだい喧嘩はしたくてもできなかった。 ともだちとは喧嘩したら終わりだと思っていた。 きょうだい喧嘩の経験がないから、 喧嘩しても仲直りができるということを知らなかったのだ。 「おねえちゃんなんて、しんじゃえ」 漫画や…
「お祈りします」 新入生への言葉の最後に院長先生がおっしゃると、 上級生たちが一斉に膝の上で指を組み、目をつむって顎を引いた。 わたしはあわてて真似をした。 ミッションスクールの入学式。 講堂いっぱいの生徒750人と壇上の先生方がともに祈る。 それ…
(註:このお題は「だから夢中なの、◯◯!」で頂きました。当時連日見続けていた「韓国宮廷ドラマ」を代入して、このタイトルとなった次第) 25年間のビデオレンタル歴のなかで、わたしが一度も手をつけたことがないジャンル。 それは韓流だった。 ところがこ…
田舎や郷里を持たない東京者だし、会社勤めもしたことがないし、 お盆やお盆休みと無縁に生きてきた。 今年のお盆もとくにいくところはなく、誰かがくるわけでもない。 といって、なんにもしないで終わっちゃうのはつまらないなあ、と思って、 以前から考え…
小学校5年生と6年生のとき、学年にT先生という男の先生がいらした。 算数と体育が専門らしく、筋肉質で、いつもホイッスルを首から下げてきびきびしていた。 5年生と6年生は持ち上がりなので、1組のわたしは3組のT先生に教わることはなかったが、学年合同体…
去年の夏、ある公立図書館の青少年活動支援課からの依頼を受けて、中高生のための文章教室を開きました。 小学校から始まる作文教育について、わたしは専門外ですが、自分の経験からしても、書くことが楽しくなるような教えかたというのは、なかなかされてい…
初対面の方に仕事の話をすると、たいてい「文章が書けるなんて羨ましいですね、わたしは書くのが苦手で」という流れになっていきます。 なにをするときもそうだと思うのですが、苦手意識というのは持つ必要のないものの筆頭です。 得手と不得手はたしかにあ…
2年ほど前から、依頼をいただいて、文章教室を随時開催しています。 記念すべき第1回は、中高の同級生たちの勉強会でした。 そのときからずっと、生徒さんたちに最初にしてもらっていること。 それは「一人称を選びなおす」ということです。 日本語には一人…
27歳で結婚をしたのを機に、編集プロダクションで週3日働きはじめました。 単行本の編集は初めてで、初稿から校了まで、一人で担当する大変さを知ることに。 2年めの夏、週刊誌時代の知人から、新書を1冊書き下ろしてみないかという話が突然にやってきたので…
A日新聞社編集局、煙草のけむりがもうもうと立ちこめる週刊A日編集部で、わたしは編集者という人に初めて会いました。 小柄でにこやかな、当時のわたしから見たらおじさん。 彼は、もうすぐ担当者が代わるから、とその人を紹介してくれました。 やはり小柄で…
スマートフォンも携帯電話も、パーソナルコンピュータもワードプロセッサーもなかった昭和40年代。 自分の名前や文章が活字になるということは、まぶしい憧れでした。 とくに、言葉と文章と活字に魅せられたこどもにとっては。 わたしの家では、父がA日新聞…
羽生さくるのことを「『お局さま』という言葉を世の中に広めた人」と紹介してくださる方がいらっしゃることを、とてもありがたく思っております。 いまや、スマートフォンの予測変換にもフツーに出てくる「お局さま」。 生まれたのは、なんと29年も前、わた…
わたしがいただいている大切なお仕事の一つに「インタビューによるブログの代行執筆」があります。 おおむね、一か月に一度、1時間ほどお会いしてお話を伺い、その内容をもとに4回ほどのブログを書き起こすというものです。 週に1回の更新であれば、一月分を…
いまもしも、この部屋にお洒落泥棒がやってきて、わたしのオシャレアイテムをすべて盗んでいってしまったとしたら。 わたしに残るものはなんだろう。 なにもなくてもこれかわいい、と思えるものがあるとしたら、それはいったいなに。 みなさん、ここで衝撃に…
上級編もいよいよ最終回。 靴についてです。 履き倒れトーキョー。 10. ヒール履く 外出したとき、自分を支えてくれるたった一つのアイテム、それが靴です。 空との接点が髪でそれを飾るヘアアクセサリーには装飾品以上の意味がある。 ならば、地面との接点…
本講座も、大詰めとなって参りました。 さくるのハマりもののなかでは最新の部類。 9. 髪飾りつける いまのところ、わたしが使っているのは「acca」というブランドのものだけです。 日本の女性デザイナーが、フランスやイタリアの職人さんに発注して作ってい…
上級編も仕上げのパートに入りました。 やや道楽の域に達しているかも。 長くなるから一項目ずついきましょうか。 8. 香水つける 香水は音楽のようなものだと思います。 美しく心地よい旋律を身にまとう。 あなたが動くと、旋律が奏でられて、誰かに届く。 …
女子力アップ講座初級編十か条解題、その三になりました。 Here we go! 6. デカパンやめれ 女性の下の下着は、タンガに限ると、わたしは思っております。 布面積が小さく横がストラップになっているタイプです。 いきなりメーカー名ですが、お薦めはワコール…
さくるのメイクアップ元年は41歳です。 それまでは本気でメイクしたことがありませんでした。 数年後に開かれた中学高校の同窓会で、20代の終わりころまでよく会っていた同級生と再会し、化粧しているあなたを初めて見た、と驚かれました。 四十路過ぎの恋は…